NASDAQ上場ネズミ講セミナーに行ったら感動してしまった話

INVEST LIFE

・会社をやめたい。
・将来に不安がある。
・起業を考えている。
・FIREしたい。
という方にオススメです。読むだけでセミナーに行った気分になり、なんであの友達がはまるのかわかり、どう対処すればいいかがわかります。広告や心理学の観点から解説します。

本稿ではネズミ、マルチ、MLM、ポンジスキーム関連のすべてを「A」として著します。各種詳細が異なりますが、ここでは同義とします。

結論
「やめとけ」
「手を出すな」
「愛を語るよりPDCA回そう」

MLM(マルチ商法)商品一覧
引用元:ファイン・グッズ MLM商品買取店

目次

勧誘セミナー

NASDAQ上場ネズミ講セミナーにGoogle広告マネージャーが行ったら素晴らしさに感動してしまった話
東京 港区

大学で知り合った10年来の友人Zと先日久しぶりに再会。 働き方や将来について語りあう。
事業計画や雇用形態、マーケティング方式など多岐に渡る。
話の最後に 「金持ち父さんの本知ってる?ESBIとか。将来のためには労働収入じゃなく不労所得とか権利収入が大事だよね。」 との話に。
「明日健康食品のセミナーがあるからきて!商品っていうか収入の話がおもしろいの。」
共通の友人からZがなにをしているか聞いてはいたので、なんのことかすぐわかった。
セミナー参加は初めてだったので興味はあった。

ーーー

翌日
閑静な住宅街の一角に構えるセミナー会場へ。
毎週開催されているそうだ。 50名ほどの会場に今日初参加が5名ほど。 元電通、五大商社、著名人の親族等々たくさん紹介された。

午前10時 セミナーがはじまった。
参加者は男女共に身なりも所作も美しい。
健康食品を扱っているということもあってか女性が多い。

テレビ局のアナウンサーかと思うほどの綺麗な方が司会をつとめる。

1名ずつ登壇するスタイル
午前 壮年の3名が次々にプレゼン

利用している会員による 「製品がいかに良いか」という話

自分自身もしくは親族が大病を患ったが、製品を使い始めてから改善。 生活も家族環境もすばらしいものになっている。 その製品を友人にもすすめ、周囲の大切な人たちがみな幸せになっていく。 関係者全員の笑顔の写真。 作り込まれたパワポ。 画面切り替え用リモコンの操作もおてのもの。 スティーブ・ジョブス並みのプレゼン。
聴衆がそれぞれ、スマホで登壇者の動画をとっている。

3名全員同じ内容である。
終了後はみなで「がんばったね!よかったよ!」と励ましていた。
終了後泣いている発表者もいる。

午後は3名の活気あるアラサーの方々のプレゼン
立ち回りからみて、会員ではなく企業側・運営側の人たちの様子。
「この企業Aがいかに良いか」という話

学生時代または会社員として暗黒時代を過ごす。 人生の迷子になる。 起業をするも失敗するか病気をする。 製品に出会い、立ち直る。 いまでは「A」により、安定収入を得ている。 病気をして収入が絶えたのが嘘のようだ。 毎月企業側から研修旅行として世界中に連れて行ってもらえる。 行く先々のホテルではVIP対応をされる。
3名全員同じ内容である。

さらに”ナスダック”というキーワードがでてきた。 「アメリカで一番上場するのが大変なナスダック市場の企業であり、そこで上場を維持している。」 企業の信用を押し出す案内だ。

株価についての案内はなかった。調べてみると5月に決算発表をしてから安値更新が止まらない様子。1年前と比べると企業価値が半額以下になっている。(2022年10月時点)

セミナー終盤
最後のプレゼンター
オーラスで中心となるのは意外にも「愛」である。

冒頭から頻出していた「大切な人」 を救うことができる。 会員になればみんな幸せになる。松岡修造より熱い。
プレゼンターははっきりと 「わたしたちは商品を売っているのではない。気持ち、愛を!」 と精神論が繰り返しでてきた。

それもそうだ。ここまで一切、 健康食品の成分とお金の話はでてきていない。
終盤も終盤、ついに「数字」がでてくる。 ポイントは登壇者たちが「起業して失敗し数百万円損失をだしている」ところだ。

会員になる方法の案内がでた。
・毎月月額3万円の自分用健康食品
プラス
・紹介用のお試し品10万円 →10万円程度で事業ができる!!!
(もちろん年間で50万円とは言わない。)

現在筆者は医療製品を扱っている。広告やマーケティングに携わり、心理学、行動経済学、薬機法、景品表示法などを参照している。「A」で扱っている商品をみてみた。

とにかく高価だ。成分は悪くはないが重病が治る保証はない。普通の健康補助食品である。医療品ではない。競合を並べたらきりがない。それぞれが治ったのはあくまで感想だ。 (※効果には個人差があるため、広告的にも景品表示法的にも問題はない。)
もらえるなら飲みたい。良い商品。

紹介料としてねずみ算式の粗利の話があった。 それを捻出するため高額になるのは当たり前。
Google検索によると 「ねずみ講」とはねずみ算式に紹介が紹介を呼び組織を拡大させながら利益を下から上へ流していく。

「ねずみ講」は無形商材を取引もしくは金銭の取引のみ行うため違法。 「マルチ商法/MLM」とはねずみ講の形式で有形商材を扱うため違法ではない。
今回の企業は健康食品を扱っているため「マルチ商法」となる。

高額商品に価値がないというわけではない。
ヴィトン、アイフォン、ライザップと、代替品があるにも関わらず、高価でも売れているものがある。
それはブランド価値によるものだ。商品、サービスには機能性の他にも価値がある。

心理学的にいうとウェブレン効果により「高いものは良いもの」、「高いものは価値がある」と人は考える。
また、結婚のコスパ、子供のコスパ、飲み会のコスパとコストパフォーマンスが叫ばれている現代で、金銭を切り詰める必要のない富裕層と触れ合う事のできる機会を得ることができる。
ゴルフや馬主がいい例だ。

そう捉えると、ここではこのコミュニティに入る参加費用と考えると許容することができる。
年収200万円でも切り詰めてフェラーリを買った人がいる。
買ったことによりオーナーコミュニティに入会できる。
持っているからこそ入れるコミュニティがあるのも事実だ。
そう考えるとするならばこれも良いのかもしれない。

学生の間では、アイフォンでないと仲間はずれの対象となってしまう、というケースもあるようだ。

さらに人間には集団内で貢献し承認されたい欲求が備わっているため、それに対し価値があると言える。セミナーで登壇し周囲から賞賛されれば完了だ。ここで成功すれば仲間からも企業からも承認される。(それでは会社員と変わりはないとも思うが。)

専業主ふも勧誘の対象だ。家で子育てしかしておらず、刺激を求めている場合がある。そして世間から隔離されているケースが多い。数字に弱い。家に子供もパートナーもいなくなった時に気持ちさえ埋めてくれればいいという思いで釣られてしまう。

皮肉をいっているわけではない。人間の本能、つまりあらがえない部分として人はそのように行動する。親が資産家である場合や働く必要がなくなると、なにかしたくなる。人は暇が耐えられないことがハーバード大学とバージニア大学の研究でわかっている。

なにもない部屋に人を15分いれておく。部屋には入室前に試して2度と受けたくないと知っているはずの電気ショック機がある。すると、多くの者が再び電気ショックをうける。自分の手で。

これは極端な例だが実生活で言い換えると、「なにか良いこと」がしたくなる。偽善者となる。その結果、プラスチックストローはよくない、レジ袋はよくない、割り箸はよくない、牛を食べるのはかわいそう、と言い出す。偽善者はティラノサウスが現われても、ミサイルが飛んできても話し合おうとするのだ。その時は最前線で座り込みを続けながらがんばってほしい。

生きること、働くことに精一杯だった戦国時代、高度経済成長期にこんなことは起きなかった。

やることがなくなった現代では起こりうる事象。

しょうがない。

そしてこれらの価値観以上にセミナーはたたみかけてくる。
心理学だ。

ーーー

セミナー前半の心理的伏線の回収が始まる。
「数百万円の起業失敗の損失」という経験談から 「10万円から事業ができる」とくるわけだ。

心理学ではアンカー(碇:いかり)効果と呼ぶ。 高額な数字を出し心理的アンカーを置いてから安い値段をだして安く感じさせる。通販の最後に、「ちょっと待ってください。今ならなんと!」というのはこれだ。

数字の話はこれだけだ。

ボランティアを否定する一幕もあった。
会員になると健康食品の産地に赴き、発展途上国の子供たちと接する。
「そこで彼らの笑顔を守るためには無償の活動ではなく、お金を稼ぐ必要性に気づいた。」と。

お金を産まなければ彼らの笑顔は見られない。

これには同意せざるをえない。
途上国に食品を送って悦に浸るものがいるが、必要なことは食品の「作り方」を教えて、産業を発展させることだ。

お腹が空いているものに魚を与えたらその日限りだが、釣りを教えれば一生困らない。

途上国と先進国の違いは「産業=工場があるかないか」その一点だ。
アメリカ、ドイツ、フランス、中国、日本

赤道や北極南極からある程度距離がある幸運に恵まれ、温暖な気候とふんだんな水資源のもと手始めに農作物をつくり、人が定住し、工場ができ産業が発展した。
ディズ二ーランドもある。

日本で生まれ育った人間に水の大切さはわからない。

人は初めから持っているものに感謝しない。

東京、大阪、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ローマ、アムステルダム

都市の発展に水、海、河は不可欠だ。

貧困地帯と言えば干からびた大地。人がとどまらず、衰退し、限りある資源を奪い合う。成長の余地はない。いつの時代も人は資源を求めて争う。水、石油、鉱物。

人が争いはじめたのは田んぼの水確保のための、上流地域と下流地域の争いからとも言われている。

人は生まれた時から平等ではない。

この点からみると我々はただ生誕地ガチャに当たっただけとも言える。

昨今、戦争や資源について日本では触れる機会が少なかったため、時勢に合わせて述べた。

話を戻そう。

各プレゼン間では近くの出席者数名で商品についてのエピソードトークや夢を語りあう時間がとられる。 安心感が生まれ、夢が膨らむ。
ここでは2つの心理効果が働く。バンドワゴン効果により欲しくなってくる。みんなが持っているものがほしくなる効果だ。アイフォンなどがいい例だ。特に日本人は島国の特性や、周囲を気にする性質上「みんながやっている」に弱い。「キャッシュレスが便利です!」と訴求するよりも、「もうみんなキャッシュレスですよ!」という方が効果がある。

次はウィンザー効果。
製造者=企業から、これは良い商品と直接言われるよりも第三者の口コミの方が信じやすく、信憑性があがる。これはSNSの進化によるユーチューバー、インスタグラマーの台頭からもうかがえる。広告にユーザーの口コミが書いてあるのもこれにあたる。

また、平安時代の人の一生分の情報が数日で得られるようになった現在。情報があふれる中では商品のクオリティをそのまま謳うのはご法度である。商品から得られる未来を受信者に描かせて心を揺さぶる。

例をあげるとプロテインを売るときは「たんぱく質が取れる」や「筋肉がつく」よりも、お腹が割れる、くびれる、それにより「海辺でモテる」が大事。

脱毛も「毛が抜ける」「痛くない」「安い」ではなく、「彼氏が喜ぶ、彼女ができる」といった、人の本能的欲求を刺激することが大事だ。

さらにすごかったのは参加者のリアクションである。

プレゼン中や、グループトーク中の参加者のリアクションがとにかくでおおきい。 少しボケれば爆笑、悲しい話では悲鳴が広がり、会の最後には友人Zも含めて涙するものが絶えない。自己啓発セミナーでは参加者に聞かせるだけでなく、その場でアクションをさせたり、大きな音を出して、身体的に心を揺さぶってくる。気持ちを上下に揺さぶるだけで満足感が上がるのだ。なぜなら、安定を求める日常生活では気持ちの上下がないからだ。この為にドラを鳴らしたりするセミナーもあるそうだ。

具体的な「数字」の話は一瞬で終わるが収入についてESBIの話が出てきた。
収入には大きく2種類ある。
・労働収入の E=employee(従業員) S=self employee(自営業者)
・権利収入の B=business owner(ビジネスオーナー) I=investor(投資家)

労働収入では病気になって大変という話は1日聞いた。
すると、権利収入であるこの「A」をやるしか選択肢が残っていないように感じる。 実際は営業活動をし続けなければならないため、ビジネスオーナーでも、投資家でもないが、これが権利収入と感じるように1日話をきいた。

このESBIはロバートキヨサキという資産家の著書『金持ち父さん 貧乏父さん』”Rich Dad Poor Dad”で広まった考え方である。

クロージング

このように1日を通して、選択肢を一つに絞っていく。

・お金は大事だ。
・会社員では自由がない。
・事業にはリスクがある。
・病気をしたらどうする。
・ボランティアはだめだ。
・笑顔の輪を広げていこう。
・一緒に海外を巡りたくないか。
・大切な人とその大切な人を幸せにしていきたくないか。

それが月3万円から。

やるしかない。
ここでセミナーが完結する。
MLM.amway.end
とにかく感心した。 これは入る。
昭和の戦後復興から先進国の仲間入りをしたはずの日本。令和の現代では高齢化社会となり衰退し、会社では悲壮感や愚痴があふれている。 しかし、このコミュニティでは夢と希望しかない。 みんなが自分を肯定してくれる。 みんなで毎月海外にもいける。 その一員になれると思うとわくわくする。

帰り際にはあのアナウンサーの様な司会の方がわざわざ握手をしにきてくれて、立ち話に。挙句の果てには10名ほどの会員に囲まれ質問攻めになり、楽しくなってくる。

集団に所属する欲求と承認されたい欲求も満たされる。
一人、家で過ごすことが増えたコロナ禍、とくにぴったり。
マズローもびっくりだ。

・集団による心理的後押し
・起業との金銭的リスクの比較
・愛するものが幸せになる未来
これらが目の前にあって、やらない者などいるだろうか。

ーーー

それでもやってはいけない理由

ここからはやってはいけない「問題点」の列挙となる。
商品を売るためには2つの手法がある。 「紹介か。それ以外か。」

原則として最強の広告は「紹介=口コミ」である。
サービスそのものに、紹介元の「信用」と「人間関係」が重なる最強の手法。 どんなCMや看板よりも強力だ。紹介の極みは京都などで見られる、一見さんお断り。紹介者がいるということは身元が保証されるということになる。紹介されたお客さんが何かしでかした場合、紹介元の信頼に傷がつくことになるため、相互にいい意味で行動抑制、そして販売促進につながる。( この「人間関係」を取り除き、信用を切り売りするものが、インフルエンサー、ユーチューバーマーケティング。)

一世を風靡した 2ちゃんねる、スカイプ、ラインはすべて紹介による拡大である。
ここで問題になるのは、既会員に紹介以外の広告によるマーケティングの概念が毛頭ないこと。
マーケティングとは、求める人を増やすこと。ターゲットを絞り、見込み顧客リストを集め、メディア、広告を通して、「第三者」にリーチし、販売を行うこと。

しかし、彼らにはそれがない。 つまり、「親戚、友人」=「携帯の電話帳、友達一覧」という有限のリストしかない。
そこで確実に紹介、勧誘が行き詰まる。
だからやってはいけない。
これは生命保険会社や車販売会社がとる手法だ。 新卒採用で大量に営業人員を採用する。 数字に追い込まれた者は親族、友人になんとか販売をする。
その後は数字があがらず退職をするが、企業側はそれを見積もっているため、企業側にはメリットしかない。
そこで第三者に届けることができるなら、インフルエンサー、ユーチューバーになった方がよい。 わざわざ在庫を抱える必要などない。 (裏方としてマーケター、広告代理店でも可。)

数うちゃ当たる。 何名かは登壇者たちのような生活を手に入れられる。
これを生存者バイアスという。 失敗した対象を見ず、成功した(≒生存した)対象のみを基に判断する。 登壇できるのは成功者のみであり、失敗者は勝手にやめていく。
保険会社や車販売会社と同じである。会員が続けようが続けまいが、このセミナー開催元企業に損失はない。1回でも買ってもらえればそれで利益。代わりはいくらでもいる。

考えてみてほしい。
いまみなさんの中で 1年、5年、10年と「毎日」同じ特定のブランドのものを使っているだろうか?

10年前と同じ携帯を使っているか?
同じものを食べているか?
同じ服か?
人は飽きる。続くわけがない。
日本だけで300万も会社があるのに、なぜ1社を使い続けなければならないのか。
続く確率を計算してみてほしい。 (わたしは毎日同じプロテインを飲み、筋トレを10年続けているので実は向いているかもしれない。)

素直にうまいとは思った。製品も手法も、そして人もすばらしい。 しかしそこにマーケティング思考を掛け合わせると、「1企業」としては利があるが「1会員」としては勧誘に限界がある。
また、この勧誘にもトリックがある。この「勧誘」は会員が増える可能性以上に大事なことがある。
それは他コミュニティからの断絶。

昭和から平成にかけて大学等で見られた宗教勧誘。特に上京したばかりの人は基本ひとり。集団所属の欲求、承認欲求に飢えている。

勧誘を行うことによりその人の信用、信頼が低下し、煙たがられ、他のコミュニティから相手にされなくなる。よって、後戻りもできなくなる。

そして多くの会員がそれを行い、失敗した場合、居場所がなくなり、心の拠り所もなくなる。
そして、同志がいるこのコミュニティだけが心の支えになる。
負のスパイラル。
ほかに帰る場所などない。

ーーー

ありとあらゆるビジネスで大事なのは顧客リスト=連絡先だ。既存顧客の住所、将来顧客のメールアドレス。最近ではこのリスト獲得のために、LINEでスタンプを配り、友達登録を促す企業が増えてきた。インスタの「イイネ」も力は弱いがリストと言える。
世界70億人の中から第3者=赤の他人に認知してもらい、商品・サービス購入に導かなければいけない。

個人の視点でみれば70億は無限とも言える大きな数字だが、自分の知り合いは有限だ。
知り合い10人、100人にアプローチしていては身も心も削ることになる。

自分自身が健康の化身となって、インスタグラマーやユーチューバーになりながら、この商品を販売するつもりだろうか?

それなら、この1つの商品、企業にこだわる必要はない。

ひとたび名を上げればなんでも売れるようになる。

ヒカキンやはじめしゃちょー、ヒカルを見ればわかるだろう。今はもうなにやってるかわからない。

(いい意味で)

ーーー

対策は1つ

もし今あなたが大切な人から紹介をされていたのならやることは1つ。
今すぐやることは紹介者との連絡を絶つこと。

これは中々できない。

なぜか。

それはあなたの大切な人だからだ。
どうか紹介してくる親戚や友達を恨まないでほしい。
あなたの大切な人は企業から話を聞いて信じている。
人間の本能から動いている。この行動を変えることはできない。
企業は嘘をついていない。
これがやっかいだ。

なぜすばらしい商品、考え、師匠なのにCMや宣伝広告をやらない?

できないからだ。

企業は法の合間を縫いながら都合のいい事だけ伝えている。
不都合な真実を伝えていないにすぎない。
(参加者の勉強不足とも言えるが。)
そして心理学を熟知し人の動かし方を知っている。

繰り返すが商品を紹介することはいいことだ。
Facebookは大学の寮の一室から始まった。寮が繋がり、大学、アメリカ、世界へと広がっていった。
マーケティング戦略としては正解。

「コンビニの新しいパンがうまい。食べてみて。」
「あのお笑い芸人がおもしろい。見てみて。」
これにはなんの問題もない。
なぜか。
紹介者と商品に金銭のやりとりがないからだ。

しかし、今回紹介した商法には30%近くの利がのる。
それが繋がっていく。
あなたはいま紹介者から「金」とみられている。
今までの思い出と引き換えに。

利益が繋がるのはいいことかもしれない。
全員がハッピーになるかもしれない。

しかし、あなたの持っている有限の顧客リストに意味はない。
そのリストの中でもがいていれば、あなたの周りから人が消える。
ビジネスは70億人の中から第三者に行わなければならない。
でなければ限界がくる。これを絶対に忘れるな。

もし、すでにやってしまっていてもやることは一つ。
連絡を絶ち、すぐにやめる。
友人を突き放すことなどできない。お金がもったいない。かけてきた時間がもったいないと思うはずだ。

安心してほしい。

それはサンクコスト効果によるものだ。
人はかけたお金や時間を考えるとその「物」が手放せなくなる。
また、一度手に入った物を手放すことは心理学的に難しい。
得るよりも失うことの喪失感の方が大きい。これはプロスペクト理論、損失回避性によるもの。

つまり、あなたの脳が教科書通り、正常に動いている素晴らしいサイン。
まだあなたは大丈夫。
(蛇足だがこれは離婚を踏み止まる原因第2位。1位は子は鎹 :かすがい。)

ーーー

お金について考える

友人Zにこの事は伝えていない。すべて笑顔で肯定しておいた。 連絡はやめた。目を輝かせている人を止めることなどできない。人は感情で行動する。 理屈ではない。

紹介を受けて、違和感を覚えた時はお金の流れを確認するだけでいい。

世界一の投資家
ウォーレン・バフェットの言葉を拝借する。

Never ask a barber if you need a haircut.
散髪が必要かどうかを床屋に聞いてはいけない。

床屋は生きるため、食べるために髪を切る。そんな人に散髪の判断を任せてはいけない。
あなたが坊主であれ、産毛を切ろうとしてくる。
銀行窓口で資産運用の相談をするなどもってのほかである。あなたは手数料払い出し機としか思われていない。

その紹介によって、お金が得られる人の言うことを聞いてはいけない。
これを意識するだけで、物事の分別がつくようになる。どうしてもアドバイスを得たい時は第三者へ。

投資や資産運用の話がきたら少しだけ数字と歴史を頭の片隅に置いてほしい。
・ノーベル経済学賞を受賞した学者たちが作った資産運用ファンドが破産したことがある
・世界一の投資家ウォーレン・バフェットは年利周り25%で運用し神として崇められている
・投資漫画の中で夢物語として年利8%の運用を目指している
・年4-5%で運用できていることは優秀
・世界の金持ちは手堅く年1-2%で運用を目指している。(10億円を持っていればそれだけで年間1000万円)
・不動産運用の利回りはよくて年1-2%(“10%”などをうたうチラシには経費と税金が含まれていない)
・運用は最低でも年単位ではかるものであり、月利と書いているものはすべて詐欺

・「貧乏人においしい話、儲け話は絶対に回ってこない。」自分が金持ちだと思って考えるとわかる。金持ち/資産家は貧乏人を雇い奴隷として働かせる。対等の地位となることはない。話がくるということは”一緒に”ではなく”わたしの下でわたしのために”働かないか?ということである。過去の歴史では力づくで、現代は言葉と知識を使い巧みに。

また、前述したESBI思考、ロバートキヨサキ著書『金持ち父さん 貧乏父さん』”Rich Dad Poor Dad”を「絡めて」始まる話は全てだめ。儲かる話を人に教えるバカはいない。
※書籍『金持ち父さん 貧乏父さん』そのものはお金に対する考え方、使い方を記した本である。一読をお勧めする。

この企業はだめだ、人を疑え、高い物を買うな、と言っている訳ではない。

今の自分を変えたくて一歩踏み出した勇気は賞賛に値する。あなたが今大切な友人に紹介している、されている商品、考え、師匠はすばらしいのだろう。あなたが義務教育を受けた上で導き出した答えだ。

だが、そんなことは知ったこっちゃない。

自分の知り合いに「だけ」ものを売って、楽をしようとするな。

ということだ。

操り人形でいいのか?
自分の頭で考えろ。

結論
「愛を語るよりPDCA回そう」

物を売りたい、ビジネスをしたいなら愛だけでなく、数字をしっかり管理して。
数字から逃げない。

ビジネスには数字がつきまとう。

そこから逃げたければ一生会社員をやるかヒモになるか。割り切る。

優しく包み込んでくれるセミナーや宗教に操られるな。

セミナー企業の戦略は素晴らしい。
製品としても悪いものではない。サンプルはたくさんもらった。
ここに感謝の意を記す。

代理店として一般的なマージンでの販売なら考えなくもない。
わたしが同じ会社を作り、同じセミナーを開きたいくらいだ。
すでに金持ちならば構わない。健康なのはいいことだ。明るい未来を夢見るのは楽しい。
自己肯定感を上げてはくれる。そのために数万円の月会費を払っているとするならそれも構わない。
これらの理由から宗教的コミュニティに入ると、心の拠り所ができ、寿命がのび、ストレスが低減される研究も出ている。
AppleやDisneyなどの企業はファンという信者を抱えているともいえる。
それも構わない。

そこを”信じる”だけなら構わないが、自身の生活費のあてにしてはならない。
どうしてもやりたければ、ユーチューバーやインスタグラマー、マーケターになるという意識をはっきり持つこと。
権利収入ではない。労働収入だ。
薬機法、景品表示法ギリギリのグレーなことをやっていることを自覚する。
「疑わしきは罰せず。」という言葉に救われている。
一生楽はできない。勉強を続ける。


完全歩合制の求人情報がある。

自動車販売員
生命保険販売員
健康食品販売員

どれがいいか?

すべてのセミナーはこう提示されているに過ぎない。
夢を見ずに現実を見よう。

ここにも需要が存在しているのは確かだ。
したがってビジネスが成立している。
販売方法を考慮すれば道は開ける。
全ては否定しない。

だが、1会員として「自分の周囲を幸せにするだけで、いつかはお金持ちになれる。会社をやめてこれだけで大丈夫。」とお花畑思考でいると、自分だけが不幸になることは断言できる。マーケティング思考を併せ持つことが大切だ。
お花畑思考だけでいないことを祈る。

アナウンサーさんにはもう一度会いたい。

ーーー


2022年10月14日
MLM大手アムウェイの違法行為に対し消費者庁から取引停止命令。
勧誘と伝えずに勧誘行為を行うという特定商取引法違反が確認されたとのこと。
同様の案件での取り締まりは日本初。

ーーー
著者プロフィール
DK

新宿駅前エステサロンオーナー
都内5室不動産運営
医療機器商社勤務
システムエンジニア
Google広告マネージャー
webマーケティング
行動経済学
景品表示法
薬機法
心理学
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